地域支え合いの仕組み作り

困っていることがあるときの現状と将来像

仕組み作りに先立ち、困っていることがあるときの現状と将来像を見てみましょう。

割合はイメージですが、現状困っていることがあっても諦めてしまっていることが多いのではないでしょうか。諦める⇒青色

この諦める割合を大きく減らすことが支え合いの仕組み作りを行う上で一つの目標になると考えています。


現状諦めている理由

では現状なぜ諦めてしまっているのでしょう。

自分ではやれない

  • やり方が分からない
  • やり方がわかってもやる技術がない

人に頼めない

  • 人に頼むくらいなら諦める
  • 人に頼みたくてもやれる人が周りにいない

費用が掛かる

  • 業者に依頼すると金が掛かる

まだ使えてる

  • だましだまし何とか使えてる⇒完全に壊れたらやろう
メモ

家電などでだましだまし使えてるということもあると思いますが、突然壊れてしまいデータなどが取り出せなくなることもあります(パソコン・スマホの電話帳や写真など)⇒データのバックアップが大切。

また早く直す方が結果として安上がりということもあります(屋根の雨漏りなど)。

壊れている物にもよりますがなるべく早めに修理するようにしたいものです。

上記の諦めている理由は代表的な例ですがほぼ要点は押さえられていると思います。これらを取り除くことができれば(大きく減らすことができれば)将来像に近づきます。


諦めている理由を取り除く

ではどうすれば取り除くことができるでしょう。

諦めている理由解決策
自分ではやれない
やり方が分からないやり方を教えてくれる
やり方がわかってもやる技術がないやる技術を教えてくれる
人に頼めない
人に頼むくらいなら諦める人に頼んでもいいんだよと言ってくれる(意識変革)、気軽に引き受けてくれる
人に頼みたくてもやれる人が周りにいないやれる人を探してくれる(範囲を広げて)
費用が掛かる
業者に依頼すると金が掛かる無償でやってくれる、有償でも費用を抑えてやってくれる
まだ使えてる
だましだまし何とか使えてる⇒完全に壊れたらやろう現状先送り・・・上記のいずれか

上記の解決策をやってくれる人がいれば現状諦めていることも大きく減らすことができます。

困りごとなどがある人と困りごとなどの対応ができる人がつながる(つなげる)ことが必要になってきます。人と人をつなげる=マッチング⇒これを仮に「支え合いマッチング」と呼ぶことにします。


地域で支え合う

困りごとなどがあるとき、自分一人ではできないことも家族や近所の人たちの力を合わせればできることは広がります。

更に地域の人たちの力を合わせればできることはもっと広がります。


できる範囲のイメージ


こんな風になったら

「支え合いマッチング」、こんな風になったらいいなというイメージを描いて見ます。

  • 困りごとごとなどがある人たちがそれぞれスマホ・PCなどで内容を登録
  • 困りごとなどの対応ができる人たちがそれぞれスマホ・PCなどで内容を登録・・・個人のボランティア、地区でボランティアをやっている人たち、ボランティ系の地域活動をやっている人たちなども登録
  • 困りごとなどとその対応ができる人がマッチングすれば通知が来る


こんなことも

  • 近くで対応してくれる人がいなくても範囲を広げてみることができる・・・地域で支え合う
  • 直接的にマッチングしないこともこんな工夫をするとマッチングするということを教えてくれる・・・当初は検討チームにて、将来的に事例が集まればAI、チャットGPTなど
  • 自分で登録できないけど聞き取りや紙に書いたものを登録してくれる・・・マッチングすれば訪問、電話で連絡
  • 自宅作業などでは立会い者が必要になることも⇒立ち会いしてくれる人がいないとき代わりに立会ってくれる(代理立ち合い)

支え合いの仕組みの全体像(案)


尚、支え合いマッチングにはその土台となるルールなども必要ですがそれらも備わっている想定です。

 

いかがでしょう?

こんな風になれば冒頭で挙げた困っていることがあるときの将来像に限りなく近づくと思います。


この活動が浸透してくれば、対応してもらった人が「やってもらって良かった。じゃ今度は私・オレも対応する側に回って見よう」いう人も出てくると考えています。

実は上の絵の左側の困りごとなどがある人たちは右側の困りごとなどの対応ができる人たちでもあるのです。

  • Eさん:畑の草取り手伝ってほしい・・・Fさん:休みの日ならお手伝いできます
  • Gさん:包丁研いでくれる人いませんか・・・Eさん:包丁研げるよ、平日でも大丈夫

対応してもらった人が「やってもらって良かった。じゃ今度は私・オレも対応する側に回って見よう」というようになってくれば輪が広がると同時にこの活動の継続性にもつながってきます。


スマホ講習会と支え合い活動

ひとまち会ではスマホ講習会を2022年から開催していますがきっかけは上記の章「こんな風になったら」を検討しているときのことでした。

  • 困りごとごとなどがある人たちがそれぞれスマホ・PCなどで内容を登録
  • 困りごとなどの対応ができる人たちがそれぞれスマホ・PCなどで内容を登録

自分でスマホなどから登録できる人を増やしたい

  • 自分で登録できないけど聞き取りや紙に書いたものを登録してくれる

自分だけではスマホなどから登録できないって人も減らしたいな

スマホ講習会は「スマホをもっと使えるようになってほしい」ということからスタートしましたが、スマホ講習会を続けて行くなかで支え合い活動とつながる部分が見えてきました。

頼っていいんだ

スマホ講習会では分からないことがあれば遠慮なく手を上げるなり質問するなりしてくださいと言っています。実際、操作支援役が中学生ということもあり、また講習会の雰囲気的にも皆さん気軽に質問してもらえていると思います。

あと、スマホ講習会が終わってからも参加者間で聞ける関係性ができることもポイントの一つです。

人に頼めない
人に頼むくらいなら諦める人に頼んでもいいんだよと言ってくれる(意識変革)、気軽に引き受けてくれる

上記の章「諦めている理由を取り除く」で出て来た内容ですが、スマホ講習会が頼っていいんだという意識変革(敷居を下げる)に微力ながらもつながっている例だと思います。

対応する側に回って見よう

  • 「やってもらって良かった。じゃ今度は私・オレも対応する側に回って見よう」

これも上記の章「こんな風になったら」の一節です。スマホ講習会の受講者が「じゃ今度は私・オレがスマホうまく使えない仲間に教えてやろう」ということも十分あり得ます。

  • 難しかったが自分なりに説明することができた
  • 使い方覚えてもらえて良かった

操作支援役をやってくれた中学生たちのコメントに上記のようなものがありますが、もう既に対応する側に回ってくれていますよね。

更に中学生は「スマホ講習会の操作支援やれたんだから他のこともできるんじゃないかな」と支え合い活動の「困りごとなどに対応できる人たち」になってくれる有力候補と考えています。


田上の竹を当てはめてみると

ここでちょっと目線を変えて、地域支え合い活動を田上町に関連する例として竹の問題に当てはめて見ましょう。

※以下の一連の流れには推測も含まれます。

困りごとと解決策

竹で困っている人に対しそれに対応してくれる人が見つかりましたが…。


困りごとと解決策

また新たな問題(困りごと)が発生したので検討グループで知恵を出し合いました。

  • 実際に田上町で粉砕機を導入し竹の粉砕に使用している事業者の例あり
  • 田上産のたけのこを使用したメンマも2023年から試験販売開始


困りごとと解決策

しかし竹の問題は根が深くまだ課題(困りごと)は残ります。

知恵を出し合う中で、竹林の荒れという問題(困りごと)を竹林・竹を使ったアートにしてしまおうという発想が生まれました。

そう、それは皆さんよくご存じの「バンブーブー」です。

竹林の荒れという問題(困りごと)を竹林・竹を使ったアートにするという発想とそれを具体化させたことは素晴らしいと思います。


ひとまち会としては更にもう一歩進めて見ます。

田上産たけのこを使った商品(観光商品含む)などをブランド化するのも良いと思います。

  • 品質確保の目的などで一定のルールを設ける
  • ロゴも統一する

それらブランド化した商品(観光商品含む)を日本全国・世界に向けて発信します。

ただし、必ずしも大勢の人たちに見てもらう・来てもらう必要はないと考えています。

ニッチ戦略(市場の隙間にある狭い市場をターゲットにすること)という言葉もあります。余り大勢の人に来られても受け入れ態勢が整わないという問題もありますし、気に入ってもらった人だけ来てもらえれば良いという考え方もあります。

今のご時世、雪かきツアーなるものもある時代です。雪国の人にとってはやっかいものの雪も普段雪のないところに住む人にとっては観光資源になり得るという良い例です。

竹林の整備に手がない、たけのこの掘り手がいないなどの竹の問題も観光資源の視点で見たら別な解決策もあり得ます。テレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」で三条の鍛冶職人さんのところへ海外の人が弟子入り志願で訪ねるということもありました。日本のみならず海外からも田上の竹を目的に人が訪ねて来てくれたらブラボー(Bravo)!!ですね。


何から始めれば?

では地域支え合いの仕組み作りは何から始めたら良いでしょう?

一つは、全体像の認識を関係者間で共有することが大切だと思います。

次に実際に活動をスタートさせること、机上の議論も必要ですが実践することで分かることも多々あります。手探りで進めることもあると思うのでまずは小さくスタートすることが良いと思います。

幸いにも令和5年(2023年)から生活支援体制整備事業として地域支え合いフォーラムや支え合い助け合い地域づくり勉強会がスタートしていて沢山の参加者がいます。トライアル(お試し)の位置付けとして以前田上町で行ったアンケートの「今後、身体が少し不自由になったとき、手助けしてほしいことは何ですか」などからテーマを選び始めることも良いと思います。

ひとまち会は生活支援体制整備事業にも参画しながら、自分たちで考え、自分たちでできることを進めて行きます。